訪問日:2019年7月24日
2018年は伊勢宗瑞(北条早雲)が北条氏綱に家督を譲ってから500年、2019年は伊勢宗瑞が亡くなってから500年ということで、小田原市では、2018年と2019年の2年間に渡り「北条早雲公顕彰五百年事業」を行っています。そして、その一環として、2019年7月6日から9月8日まで、小田原城天守閣で特別企画展『「センゴク権兵衛」原画展ー「センゴク権兵衛」に描かれた小田原ー』が開催されています。
小田原城天守閣のホームページにある本展示の案内を見ると、関連イベントとして、
(1) ナイトミュージアム
(2) ギャラリートーク
(3) シンポジウム
があり、ナイトミュージアムは都合がつかず参加できなかったのですが、ギャラリートークは夏休み期間中の毎週水曜日(7月24, 31日、8月7, 14, 21, 28日)に開催されるとあり、初回の7月24日は都合が良く、「善は急げ」ということで、その日に訪れることにしました。
ギャラリートーク
ギャラリートークは午後1時30分から30分程度行われます。当日は天守閣内で開催の案内が流れ、また天守閣の方が開催を教えてくれました。時間になると予定通り、学芸員の方による展示解説が始まりました。
失敗と挽回
センゴク権兵衛とは仙石秀久のことで、豊臣秀吉は九州攻めの際、仙石秀久に長宗我部元親・信親親子、十河存保ら四国勢を中心とする軍勢をつけて派遣したが、仙石秀久は戸次川の戦いで島津家久の釣り野伏せにかかって大敗した。この敗戦により、仙石秀久は讃岐国の所領を没収され、大名の位を剥奪された。これが「失敗」である。戸次川の戦いでは、長宗我部信親が討ち取られ、長宗我部信親は非常に人気が高い武将なので、仙石秀久はあまり人気がない。
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長宗我部信親が討ち取られ、仙石秀久はあまり人気がないという話には共感しました。私も長宗我部信親は好きな武将で、信親が生きていれば、長宗我部家は滅亡することはなかったと思うので、仙石秀久には思うところがあります。
仙石秀久は小田原合戦に徳川家康の陣を借りて参加し活躍が認められ、合戦後、小諸の大名として復帰した。これが「挽回」である。しかし、何故復帰できたのか理由はよく分かっていない。
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仙石秀久が最終的に大名に返り咲いたのは知っていましたが、小田原合戦後とは知らず、またその理由もよく分かっていないということで、漫画「センゴク権兵衛」で仙石秀久の活躍がどのように描かれるかが楽しみです。
個人的には徳川家康の推薦があったのでは思います。小田原合戦後、秀吉は家康を関東に転封しますが、家康が転封を拒まないように怒らせたくないという気持ちがあって、家康の頼みならば、大体のことは聞き入れたと思います。後の歴史を知っていると、家康は自分の味方を増やしたいために秀久を大名に推薦したように感じますが、そうではなく、純粋に合戦での働きを認め、大名に推薦したと思います。
天正小田原合戦参陣武将、永禄小田原合戦
天正小田原合戦参陣武将として、豊臣秀吉、徳川家康、前田利家、黒田孝高、石田三成らの原画、及び、永禄小田原合戦に参陣した武将として、上杉謙信、武田信玄、武田勝頼らの原画が展示してありました(武将原画の人気投票が展示の最後にあり、石田三成がダントツで一位でした)。
天正小田原合戦参陣武将を見ていると、これだけの一流武将らを敵に回して戦った北条家の凄さを改めて実感しました。
「センゴク権兵衛」ができるまで
1. 取材(事前準備、材料集め)
2. 打ち合わせ
3. ネーム
4. 作画
5. 入稿&校了
6. 印刷&製本
までの流れが展示されており、それらを見ていると、漫画は芸術だなと感じました。私は漫画を読む時はあまり画に注目せず読んでいましたが、じっくり画を鑑賞しながら、読む読み方もあるなと感じました。
「無」の二人
「無」の旗印は仙石秀久だけでなく、織田信長、上杉謙信、榊原康政なども用いていたが、北条氏直の旗印も「無」であった。「無」は禅宗の教えに由来するとされ、人間の煩悩を捨て去った状態であり、人間の頭では理解できないものであるとされる。
仙石秀久は小田原合戦から「無」の旗印を用いたとされ、小田原合戦で相対した仙石秀久と北条氏直はどのような思いで「無」を旗印として用いたのであろうか。
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仙石秀久は小田原合戦から「無」の旗印を用いたとされることから、何も無い(大名で無い)ところから再び始めるため「無」の旗印を使ったと考えるのは少し違うような気がします。
個人的には、煩悩を捨て去り、人間でなく、神仏になった自分自身が率いる軍は無敵であると主張しているような気がします。
最後に
想像よりも遥かに楽しい展示で、とても楽しめました。ギャラリートークはまだ5回ありますので、是非、訪れてみてください。
ご来城・ご参加ありがとうございました。また、詳しい紹介も重ねて御礼申し上げます。
諏訪間さま、コメントありがとうございます。
とても楽しい展示で訪れて本当に良かったです。
9月1日のシンポジウムにも訪れる予定ですので、今後も様々なイベントを楽しみにしています。