「戦国大名 北条氏綱を語る」講演会の感想

「戦国大名 北条氏綱を語る」講演会

訪問日:2023年12月2日
今年(2023年)は北条氏綱が伊勢から北条に改称して500年という記念の年であり、諏訪間館長のX(Twitter)で12月に小田原北条氏誕生500年記念講演会「戦国大名 北条氏綱を語る」が開催されることを知ってから、とても楽しみにしていました。
講演会は
・諏訪間順「北条氏綱と小田原城」
・黒田基樹「戦国大名 北条氏綱論」
・浅倉直美「北条氏の関東支配と一族・国衆」
・パネルディスカッション「北条氏綱を語る」
から構成されており、この中から黒田先生の講演で印象に残った箇所を書きたいと思います。

戦国大名 北条氏綱論

・北条氏綱がその後の北条氏の方向性を作った(伊勢宗瑞は今川氏親の後見人という考えを持っていた)。

北条家は氏綱の家督相続時、伊豆、相模の2ヶ国を有しており、更に関東を侵攻する方針を決めたのが氏綱であり、その決意の表れが伊勢から北条への改称だったと思いました。

・北条氏綱は伊勢宗瑞の死後、しばらく軍事行動をしていない。これは様々な契約関係を更新する必要があったからである。

他の大名の例として、今川義元が討たれた後の今川氏真、武田信玄が亡くなった後の武田勝頼を挙げられ、興味深かったです。

・北条氏綱は寒川神社、箱根権現、伊豆山権現などの伊豆、相模の寺社を再建した(伊勢宗瑞は最後は戦ばかりで寺社の再建が出来なかった)。これは氏綱が伊豆、相模の正式な国主であることを示す効果がある。

当時の武将は神仏への信仰が厚かったでしょうから、寺社を再建させた氏綱(寺社を再建できるほどの富を持つ氏綱)を自然と国主と見なしたと思います。

・現在は「姓」と「名字」を同じものと扱っているが、中世では別物であった。よって、伊勢から北条は「改姓」ではなく、「改称」と書かなければならない。

この点は全く気づいていませんでした。ブログを書く時など、気をつけたいと思います。

・成り上がりならば改称するが、伊勢は名門である。氏綱の決意が分かる。

この点も全然気づいていませんでした。山内上杉から「他国の逆徒」と呼ばれましたが、関東の政治勢力として存在していくという氏綱の決意が確かに分かります。

・小弓公方足利義明を討ち、古河公方足利晴氏から関東管領に任命された。二人の関東管領が存在することになるが、上杉憲政は北関東、北条氏綱は南関東の武将に指示を出していた。さらに氏綱は娘を晴氏に嫁がせ、北条家は公方と姻戚関係になった。

関東管領に任命され、古河公方と姻戚関係になった時点で、北条家は関東で揺るぎない地位を確立したと感じます。

・氏綱は氏康に対して、遺言状(置文)を与えている。その内容を読むとビックリする。適材適所を述べており、「使えない人は一人もいない」と書かれている。現代でも通用する考え方である。また「領民を豊かにしなければならない」とも述べており、これらのことを言語化していることが凄い。

置文の全文は小田原城天守閣で現在開催中の特別展「関東の雄 北条氏綱」の図録に掲載されているそうで、ぜひ読んでみたいです。

・今川、武田は滅亡時、ほとんどの国衆が離反したが、北条は戦う前に離反した国衆はほとんどいなかった。

置文に書かれた考えがその後、氏康、氏政、氏直と引き継がれたからだと思いました。

黒田先生は「置文をグッズ化すればよい」と話され、天守閣でビデオを流すことも提案されていました。それを聞いて私も、小田原城では「お城でマインドフルネス 瞑想」を実施しているので、置文を写経(写文)するイベントを実施するのはどうかなと思いました。

最後に

今回の講演会に参加し、北条氏綱に対する理解が深まりました。伊勢宗瑞(北条早雲)と北条氏康の間に挟まれ、地味な印象だった氏綱ですが、北条家を関東随一の戦国大名へ成長させたその手腕は戦国を代表する人物です。

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