松戸市立博物館 館蔵資料展「小金城と根木内城」に行きました

「小金城と根木内城」展

訪問日:2020年2月8日
松戸市立博物館では2020年1月11日から3月22日まで館蔵資料展「小金城と根木内城」を開催しています。私は小金城、根木内城に関する知識は無かったのですが、松戸市立博物館のホームページに掲載されている説明

小金城は、戦国時代の下総国西部最大の城郭で政治の中心。東側の守りの要・根木内城は何度も戦火に見舞われたことでしょう。今も残る二つの遺跡から市域の戦国時代をふりかえります。

を読んで興味を持ち、関東戦国史を知るには良い展示だと思ったので、訪れることにしました。

松戸市立博物館へ

今まで松戸市立博物館に訪れたことがありませんので、調べると、最寄り駅は、新京成線「八柱駅」あるいはJR武蔵野線「新八柱駅」とのこと。どちらも降りたことのない駅です。お昼過ぎに訪れる予定で、昼食を取れる場所があるか心配でしたが、駅周辺にはたくさんお店があり、いらぬ心配でした。

新京成線「八柱駅」で下車し、改札を出ると、北口と南口がありますが、南口から外に出ます。そこからグーグルマップを頼りに歩き、無事、松戸市立博物館に到着しました。

受付で観覧料を払おうとすると、館蔵資料展「小金城と根木内城」は無料とのことで、ビックリしました。また写真撮影もOKとあり、こちらも驚きました。以下、展示を見て印象に残ったことを書きます。

小金城と根木内城

・小金城は小金領の支配者である高城氏の本拠であったことが古文書から分かるが、根木内城は関する記録が残っていないので、詳しいことは分かっていない。
・小金城や根木内城は軍事一辺倒ではなく、城主と家族らが暮らす生活空間でもあった。
・カワラケは生活空間を持つ城郭から最も多く発見される資料である。それは使い捨てだからである。私的な酒宴でも使われたであろうが、格式の高い儀式や賓客をもてなす宴席でも常に用意された。清純さ、清潔さを求められる場での酒杯ゆえに使い捨てにされる。これがカワラケの特性であった。

城跡から発掘されるものとして、カワラケが展示されているのをよく目にします。カワラケは使い捨てだったので、紙コップと近いものとして紹介されますが、格式の高い儀式で紙コップを使うことはないので、全く同じではなく、穢れと関係があるのかなと思います。
・鉄鍋は相当普及していたようであるが、鉄は溶かしてリサイクルされ、かりに廃棄されても土中で分解されやすいため、現代に伝わることは稀である。
・輸入陶磁器は賓客をもてなす宴席で用意される道具であり、2つの城郭は軍事だけでなく、外交交渉、つまりは政治的な場としても機能していた。
・南妙法蓮華経と書かれた板碑片が展示されていました。解説には「城塞化に当たって前時代のものが廃棄されたようです」とあり、石仏を石垣に使う場合と同じように、現代人の我々からすれば、罰当たりな行為のように感じますが、当時の武将の考えを知りたいなと思いました。
・第二次国府台合戦直前の軍事動員命令書が展示されていました。小金城の高城氏らから「里見軍が兵糧調達に手間取り、岩槻の太田家と連携が取れないでいるから、このチャンスを逃さず、是非とも攻撃を!」と北条家に伝令が走り、それを受けて、北条氏康が動員をかけている書です。第二次国府台合戦で小金城の高城氏らが上記のような伝令を出したことを知らず、とても興味深かったです。
・上杉謙信が大敗した臼井城攻防戦の結果を記す足利義氏の古文書が展示されていました。臼井城攻防戦は上杉謙信の関東侵攻に大きな影響を与えた合戦なので以前から興味があり、「臼井城の城主は高城氏の主人筋に当たる原氏」とあり、更に興味が増しました。
・陣夫は戦時の物資運搬や工事を担う人足で、戦国大名は住民税のように村ごとに課していた。陣夫は武器を持たず、戦闘もしない。北条家は実際の陣夫を出さない、銭での代納を認めていた。(陣夫を出さない村に対して)北条家は「未来永劫銭納でよいという北条家からの保証書があるなら出してみろ」と村を脅し、実際の人間(現夫)を要求している。

戦国大名は自身の領内では王様で、好き勝手にやっていたようなイメージを持ちますが、実際に動員にも苦労していたのだなと思わせる古文書で興味深かったです。

酒飯論絵巻の写真が何枚か掲げられており、当時の様子が伝わってくるとても興味深いものでした。また展示されている古文書の現代語訳集が置かれていますので、忘れずに貰いましょう。

酒飯論絵巻

酒飯論絵巻

最後に

展示をひと通り見ると、実際に小金城と根木内城に行きたくなりました。機会を見つけて、訪れようと思います。
またこのような素晴らしい展示を無料で見せてくれる松戸市立博物館に感謝を伝えるためにも、訪れた方は見終わった後にアンケートに回答しましょう。

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