訪問日:2019年9月28日
放光寺は恵林寺の近くにある真言宗智山派のお寺で、恵林寺と一緒に訪れる人が多いと思います。私も恵林寺拝観後、歩いて、放光寺に行きました。
放光寺の山門はとても特徴的です。山門の額にはよく見ると梵字が書かれており、真言宗のお寺だなと感じます。
歩を進めると、次に仁王門に到着します。仁王門には成朝作と言われている仁王像が祀られています。成朝は奈良仏師の本流で(運慶の父である康慶は傍流)、源頼朝は鎌倉に勝長寿院を建立する際、成朝に仏像製作を依頼しました。安田義定が建立した放光寺に成朝の仏像があるということは、頼朝と同じ仏師に仏像の製作を依頼できるぐらい安田義定の力は強かったと言えます。勝長寿院は廃寺になっており、成朝の仏像はとても貴重です。
更に歩を進め、拝観受付で拝観料300円を払い、堂内へ。まずはお寺の方から放光寺の歴史、拝観順序などの説明がありました。説明後、順序に沿って拝観スタートです。
愛染堂の愛染明王
まずは愛染堂の愛染明王です。こちらの愛染明王像は収蔵庫の安置されている愛染明王を基に製作された像(多分)で、愛染明王本来の赤い色をしています。先程の恵林寺拝観では赤い色をした制多迦童子を見て、武田の赤備えを思い浮かべましたが、こちらの愛染明王を拝観した時にはそのように感じなかったです。恐らく、こちらの愛染明王像が縁結びの仏様として祀られていることを知っていたので、そのように感じなかったのだと思います。
縁結びと言えば、恋愛成就をイメージしますが、男女の縁はもちろんのこと、社会との縁、仕事との縁、学校との縁など、ありとあらゆるご縁が吉祥に結ばれるご利益を授けてくれる仏様とのことです。いくつになってもご縁はとても大切ですので、私も愛染明王様に良縁を祈りました。
天弓愛染明王
次は収蔵庫です。こちらには、大日如来像、不動明王像、愛染明王像が祀られています。この3体の中で特筆すべきなのは愛染明王像です。こちらの愛染明王像は天弓愛染明王と呼ばれ、天に向かって弓を射ている姿をしており、古い仏像としては、日本に3体しかない貴重なものです。
忿怒の相をした仏像と言えば不動明王を真っ先に思い浮かべますが、こちらの不動明王像と愛染明王像を比べた場合、愛染明王像の方がより忿怒の相をしているように感じました。放光寺は武田信玄の祈願所ですから、信玄もこの像を見たと思います。そして、敵と戦うにあたり、悪を懲らしめる愛染明王や不動明王のような忿怒になる必要があると思ったのではないかと想像しました。
安田義定毘沙門天
毘沙門天像が祀られているお堂へ。こちらの毘沙門天像は通常の毘沙門天像とは異なり、安田義定自身が毘沙門天となっている大変珍しい像です。この像を初めて拝観したのは、源平合戦の武将に詳しくない時で、安田義定のことを知りませんでしたが、この像から非常に感じるものがあり、放光寺の仏像と言えば、一般に上記の天弓愛染明王像ですが、個人的には安田義定毘沙門天像です。武田信玄は甲斐源氏の先輩として安田義定を尊敬していたのではと思います。
最後に
拝観終了後、お茶と菓子の接待をいただきました。放光寺は恵林寺より訪れる人が少なく、落ち着ける場所ですので、お薦めです。
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