訪問日:2022年4月2日
戦国時代、関東一円を治めた北条氏の本拠地であった小田原城。小田原城と言えば、総延長9キロにも及ぶ巨大な総構です。小田原合戦において、20万の豊臣軍を城中に一兵とも入れなかった事実は、その鉄壁の防御を証明しています。
小田原城の総構に関して、私自身はツアーに参加して数回歩いたことがあり、一周したこともあります。しかし、個人で歩いたことがなかったので、今回、総構ツアーでは必ず訪れあろう
・城下張出 → 山ノ神堀切 → 稲荷森 → 小峯御鐘ノ台大堀切(西堀、中堀、東堀) → 三の丸新堀
を個人で歩くことにしました。
城下張出
小田原駅を西口から出て、小田原駅西口交差点をまっすぐ歩き、城山交差点で右折、県道74号小田原山北線に沿って歩きます。県道74号は上り坂になっており、これから歩く総構に期待が膨らみます。
県道74号は右側を歩きましょう。それは右側に「小田原城総構~谷津御鐘ノ台から城下張出一帯~」の案内板があるからです。案内板を読んで、歩を先に進めると、小田原税務署西交差点に到着します。近くにファミリーマート小田原荻窪店がありますので、トイレが心配な方はここでトイレを借りましょう。総構ツアーの一つの問題点はトイレが少ないことです。
小田原税務署西交差点で左折し、少し歩くと「めだかの学校 水車小屋」があります。有名な童謡「めだかの学校」は、作詞した茶木滋さんが荻窪用水があるこの周辺で息子と交わした会話を基にして作られたそうです。
めだかの学校辺りで左折し、坂道を上っていくと、城下張出に到着です。土塁と堀跡が目の前に広がり、思わず「凄い」と声を出してしまいます。奥にある竪堀状の堀跡も良い感じです。
元の道に戻り、歩を進めると、先程見た土塁の上に着きます。奥に垣根があり、人が行き来できるスペースが空いていますので、そこをくぐると、土塁の端に立ち、遠くまで見通すことができます。「小田原合戦当時、北条氏の兵はここから豊臣の兵の動きを見ていたんだろうな」と自然に想像してしまいます。
山ノ神堀切
元の道に戻り、道なりに歩き、道路と交差すると、そこで右折し、交差した道路を歩きます。そして、しばらく歩いたところで、右折します。実は私、ここで右折せず、そのまま直進してしまい、少し歩いたところで、「見た覚えのない風景なので、道を間違えた」と思い、引き返しました。
右折する地点には、戦国時代より古い時代のことを説明する案内板があり、また右折して少し歩くと駐車場があり、そこから小田原城の天守閣が見えます。
そこからしばらく歩くと、右手に土塁と堀跡が目に入ります。山ノ神堀切に到着しました。
堀跡の上を奥に進むと、立派な土塁と堀跡があり、必見です。また掻揚(かきあげ)土塁も見ることができます。山ノ神堀切は下に降りることができます。土塁の大きさを実感するためにも是非下に降りてみましょう。
稲荷森
元の道に戻り、250メートルほど歩くと、道沿いに稲荷森を示す案内板があります。
こちらも奥に歩を進めると、土塁の上から眺める形で立派な土塁と堀跡を見ることができます。
案内板に「ちょうど総構の堀が地形に沿って孤を描いている様子が確認できる部分で、堀の姿が良く観察できます」と書かれており、正にそのとおりだと思いました。
小峯御鐘ノ台大堀切
元の道に戻り、300メートルほど歩くと、三方向に道が分かれている場所に到着します。向かって一番右にある上り道が西堀を見学するルート、真ん中の道が中堀、向かって一番左にある道が東堀の入り口に向かうルートとなります。
この小峯御鐘ノ台大堀切が小田原城総構の中で一番の見所となります。
西堀
西堀を見学するルートを進みます。上っている途中、中堀を上から眺める形になり、クランクになっているのが良い感じです。
道を上り切ると向かって右側に堀の跡を確認できます。この堀は降りて、先に進むことができますので、降りてみましょう。
土塁は二重土塁(土塁の上に更に土塁がある)になっているのが確認できます。
中掘
中堀は完全に道路になっていますが、高さのある土塁は非常に迫力があります。ちなみに石垣のような石がありますが、総構とは何の関係もない石とのことです。
クランクを曲がった先に土塁の間にスペースがあり、中を歩けます。一番端まで歩くと東堀が見え、手前の土塁の右側にもスペースの跡のようなものがありますので、かってはクランク状の道があったのかもしれません。
中堀と東堀の間の土塁は上に登ることができるので、上ってみましょう。土塁の上に登るのがなぜ良いかと言うと、城の守備側の目線になって色々と想像することができるからです。上り切ると、こちらも二重土塁になっていることが確認できます。
東堀を上から見た時、東堀に人がいるならば、その人が小さく見え、現状でも土塁の上と堀底の高低差の違いを実感できます。
東堀
小田原城の総構が紹介される時、必ず使われるのが東堀の風景です。それが納得のとても絵になる風景であり、総構の凄さをシンプルに感じられます。先程「土塁の上から見ると城の守備側の目線になって色々と想像することができる」と書きましたが、逆に堀底を歩くと城の攻撃側の目線になって色々と想像することができます。東堀を歩きながら、「こんな土塁を上るのは無理だ」など色々と想像してみましょう。
中堀と同様、こちらもクランクになっている箇所があり、良い感じです。
三の丸新堀
東堀から出ると、広い道と交差し、左前に相洋中高等学校があります。左折し、広い道を歩くと、「小峰庭球場」と書かれた案内板があり、庭球場の隣に屋外トイレがあります。記事の前半の方で「総構ツアーの一つの問題点はトイレが少ないことです」と書いたとおり、ファミリーマートからここまでトイレがありません。
三の丸新堀にもトイレがありますが、仮設トイレですので、こちらのトイレのほうが良いと思います。
東堀の出口に戻って、少し歩くと、三の丸外郭新堀土塁の入り口に到着します。注意したいことは、開園時間が午前10時から午後3時までということです。小田原駅からは少なくとも2時間はかかると思いますので、三の丸外郭新堀土塁を見学する予定の場合は小田原駅を早めに出発しましょう。
ここからは海の景色が綺麗で、秀吉の築いた石垣山一夜城がある石垣山もよく見えます。風光明媚な風景の中に出現した石垣山一夜城に守備兵は驚いたことと思います。
八幡山古郭 東曲輪
総構ではないですが、小田原駅に戻る途中に八幡山古郭 東曲輪に立ち寄りました。八幡山古郭 東曲輪も高低差がかなりあり、小田原城の凄さを実感できます。
最後に
歴史好きならば、小田原城の総構を歩きたいと考えると思いますが、個人で歩くのは少しハードルが高いと思います。そこで本記事では、初めてでもめぐれるように出来るだけ分かりやすく書いたつもりです。一人でも多くの人が本記事を参考にして総構をめぐって、小田原城及び小田原北条氏に興味を持っていただければ幸いです。
※総構を本当に一周するのは、ガイドの方が案内するツアーに参加するのが良いと思います。
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