訪問日:2021年11月14日
早雲寺は大栄元年(1521)に北条氏綱が大徳寺の以天宗清を招いて建立した寺院であり、今年(2021)は早雲寺の開基500周年にあたります。それを記念して、神奈川県立歴史博物館では10月16日から12月5日まで、特別展「開基500年記念 早雲寺-戦国大名北条氏の遺産と系譜-」を開催しています。小田原北条氏ファンとしては見逃せない展示ですので、なるべく早く訪れようと思っており、ようやく訪れることができました。
北条五代肖像画
早雲寺の様々な寺宝が展示されていましたが、その中で一番興味を持ったものは北条五代の肖像画です。本や雑誌などでよく紹介される(小田原城天守閣にも複製が展示されている)北条五代の肖像画は一括で展示されておらず、分かれて展示されていました。
初代の北条早雲(伊勢宗瑞)の肖像画は「第三章 戦国大名北条氏と早雲寺住持」において、早雲寺住職の画像と共に展示されていました。二代の北条氏綱、三代の北条氏康の肖像画は「第四章 小田原の政治と文化」において、並んで展示されていました。
歩を進めると「第五章 早雲寺の復興と宝物」に北条五代の肖像画が並んで展示されていました。北条早雲は出家した姿であるため、他の4人とは簡単に区別が付きます。よく見る北条早雲の肖像画は右を向いていますが、こちらは左を向いており、異なっていたので案内を見ると「土佐光起筆」とのことです。北条氏綱もよく見る氏綱の肖像画とは顔が異なり、かつ赤い束帯姿でした。
次に北条氏康の肖像画に目を移すと、よく見る北条氏政の肖像画のように見え、「順番が間違えているのではないか」と思いました。氏政、氏直の肖像画を見ると、よく見る肖像画そのものであり、土佐光起筆の氏康、氏政、氏直は非常によく似ています。
氏政、氏直は戦国時代に描かれた肖像画がないので仕方ないとしても、氏康は戦国時代に描かれた肖像画があるのに何故このようになったのでしょうか。私が発注者だったら、氏康は絶対に書き直させます。
次に狭山北条氏の菩提寺である法雲寺が所有する北条五代の肖像画が展示されていました。早雲、氏綱、氏康は戦国時代に描かれた肖像画、氏政、氏直は土佐光起筆の肖像画を基に模写したものです。法雲寺版を作成する時に土佐光起の氏康像は違うと思ったんだろうなと感じました。
展示では「北条五代画像の伝来過程」を示したものがあり、非常に分かりやすかったです(図録にも付いていました)。
最後に
個人的には今回の展示を通して、北条五代の肖像画がきちんと整理できたのが良かったです。
この記事へのコメントはありません。